「重症患者減少」「感染症病棟ガラ空き」はネタにならない

7月以降のコロナ患者数の再上昇の特徴は「20、30代が多い」「夜の街関係者が多い」と報道され、特に新宿区のPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査スポットにおける陽性率の高さが報道されている。

一方、東京都は新型コロナウイルス感染症対策サイトにおいて「重症患者数」も報告しており、こちらもECMOネット同様に5月以降は下降傾向にあり、7月5日には9人まで減少している(図表2参照)が、マスコミではほとんど報道されていない。

コロナ指定病院の知人医師たちから「感染症病棟は5月過ぎからガラガラ」と聞いていたが、確かに指定医療機関の使用率も「東京都が約13%、全国で3.7%(図表3参照)」というレベルである。3、4月の重症患者数ピーク時には感染症病棟の使用率は「病床不足」「医療崩壊」の根拠として各種のメディアで盛んに報道されていたのに、「ガラ空き」はマスメディアのネタとしては視聴率を稼ぐには不十分だったのかもしれない。

米国でも「コロナ患者数再上昇」と同時に「コロナ死亡者数」は下降の一途(図表4参照)だが、この事実もECMOネット同様あまり報道されていない。5月28日には「米国の大統領令で作り過ぎた人工呼吸器を、日本政府が購入」というニュースもあったが、あっさり人工呼吸器を手放すあたり、「コロナ流行は峠を越した」と米国政府は考えているのだろう。

新型コロナウイルスによる死者の推移:隔週(出典:Our World in Data)
新型コロナウイルスによる死者の推移:隔週(出典:Our World in Data