「外貨建て保険」を正しく理解しよう
2020年5月28日、国内生命保険大手4社の3月期決算が出揃い、売上高に当たる保険料等収入は4社とも前期比で減少。本業の収益を示す基礎利益も3社が減益と落ち込みました。その要因は、主力商品の「外貨建て保険」が低迷したことにあります。
外貨建て保険とは、米ドルや豪ドル、ユーロなどの外貨で保険料を払い込み、外貨で保険金や解約返戻金などを受け取る保険です。個人年金保険、終身保険、養老保険などの種類があります。
2016年に日銀がマイナス金利政策を導入して以来、貯蓄性の円建て保険の代替商品として、生保各社が販売を強化してきました。
しかし、19年は米中貿易摩擦の激化など、世界経済の先行き不透明感が強まり、安全資産である国債が世界的に買われて価格は上昇。金利は低下したため、外貨建て保険の高利回りの魅力が薄れて販売が減少傾向にありました。
さらに20年に入ると、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、米国の長期金利は急低下。米国債などで運用する外貨建て保険は、十分な運用実績を維持できないとして、20年3月中旬から、販売を一部休止する会社も出ています。