しかし、フッ化水素の国産化はある程度は進んだ
対韓輸出管理の強化後、韓国では国産化や輸入先多角化の動きが始まっています。LGディスプレイがいち早く日本製フッ化水素を国産フッ化水素に切り替え、半導体関連では、サムスン電子が19年9月3日、製造工程の一部に、国産フッ化水素を投入し始めたと発表しています。韓国のもう一つの半導体メーカーであるSKハイニクスも品質テストを経て、19年10月より国産フッ化水素を使用し始めたと報道しています。
同社は韓国の化学素材メーカー・ラムテクノロジーが製造した液体フッ化水素を使用し始め、さらにグループ企業のSKマテリアルズが20年6月17日、高純度の気体フッ化水素の量産を開始ししています。韓国で生産され始めたフッ化水素の純度は依然として日本企業製よりも低いといわれているものの、相当な水準に達しているといわれており、半導体製造用フッ化水素については、ある程度、国産化が進み、日本のシェアが低下したといえます。
日本企業の韓国国内での生産を容認
「フッ化水素」は輸入の日本依存からの脱却と国産化が徐々に進んでいるといえます。しかし、「レジスト」や「フッ化ポリイミド」については輸入の日本依存からの脱却、国産化はどちらも難しい状況です。
また、輸出管理の強化以降、韓国の半導体産業を狙った、海外企業による現地生産の動きが始まったことが注目されます。シリコンウエハーで世界第3位の台湾系企業が韓国で増産、デュポン(米国)が今年1月、EUV向けフォトレジストを韓国で生産を開始しています。いずれも韓国半導体メーカーの需要を取り込む狙いがあります。半導体製造装置メーカーのラムリサーチ(米国)がR&Dセンターを建設し、日本企業の東京エレクトロンは今年1月、サムスン電子の工場がある平澤市で、技術支援センターを竣工したと発表しています。「国産化」と言いつつ、自国での努力というより、外国企業誘致の動きが目立ちます。日本への依存度を下げたい韓国政府も、日系企業による「国内生産」は容認せざるをえないのが現実なのです。