文在寅が夢を描いた「日本依存脱却」の夢、進まず

レジストの国産化については、「外国企業の国内誘致」という路線が目につきます。特徴的な、動きとしては、米国からの輸入先であるデュポンが今年1月、韓国でEUV向けフォトレジストを生産する計画を発表しています。韓国政府が海外企業の誘致を積極的に図ったことがうかがえます。また、デュポン自体も、韓国の半導体メーカーの近くで生産することでシェアを上げる狙いがあると考えられます。

フッ化ポリイミドに関しては、輸出管理の強化後も、対日輸入額に影響がほとんど表れておらず、国産品が輸入品に代替しているといった動きは見られないため、「脱日本」「国産化」は進んでいないと言えます。

フッ化水素の輸入先の多角化を図る

比較的、日本依存度がもともと低かった、フッ化水素を見ていきましょう。韓国で半導体製造工程に使用されるエッチングガスの精製に必要な、フッ化水素。日本の対韓輸出管理強化後、韓国では輸入先の多角化や国産化など「脱日本化」が広がり、その影響を強く受けたのがフッ化水素です。輸出管理強化より以前から、対日輸入依存度が減少しつつあったこともあり、輸出が再開された後も前年水準の2割程度にとどまっています。

対日輸入額が大幅に減少した背景には、輸入先の代替と韓国での国産化が進んだことによります。輸入先の伸び率に関して、日本総研のデータによると、韓国のフッ化水素の19年輸入額は中国マイナス9.1%、日本マイナス38.5%、台湾132.5%と、台湾からが著しく伸びています。20年(1~5月)は、中国1.4%、台湾マイナス20.7%、日本マイナス84.0%と、フッ化水素の輸入額が前年比マイナス28.7%となるなかで、中国からが増え、日本からの輸入額が減少していることがわかります。