ネットでは買えない新作化粧品がほしい

真っ先に返信をくれたのは天津に住む20代の女性だ。富裕層の子弟で、大学卒業から数年たつが、仕事はしていない。来日経験は4回あり、そのうち3回は親しい友人が住む関西地方だった。その女性はいう。

「コロナでどこにも行けない日々でしたが、自宅にいてもスキンケアとメイクは怠りませんでした。化粧品はすべて中国のネット通販で日本の自然派化粧品を購入。もう何年もずっと日本製しか使っていません。でも、新色の口紅とか、新しいシリーズの化粧品はネットでは買えないものが多いし、ネットでは商品の色が微妙に異なるので、自分の足で日本の百貨店に行って試してみたいです。化粧品コーナーでは、実際にメイクもやってもらいたいですね」

この女性のように、日本の化粧品に関心を示す中国人女性は非常に多い。観光庁の「訪日外国人消費動向調査」(2019年)の「日本滞在中の費目別支出」を見ると、購入品の1位は菓子類で、2位が化粧品・香水となっている(ちなみに3位は医薬品)。菓子類は空港や観光地での土産物が多いと思われるが、その次に多いのが化粧品なのだ。訪日中国人の男女比は男性4割、女性6割で女性のほうが多く、女性の中でも年代別で多いのは20代と30代。化粧品やファッションに関心が高いというのもうなずける。

洋服や抗菌グッズ、無印良品など…

大連の企業で働く30代の女性は「日本で衣料品を買いたい」という。「大連にいても、ネットで国内外の衣料品は買えるのですが、やっぱり試着したり、お店で選んだりしてみたい。自分の目で見て、確かめてから買いたいですね。日本にはセンスのいい服がたくさんあるし、デザイン的に中国より“かわいいもの”が多い。もし日本に行けるようになったら、スーツケースを2つ持っていきたいです(笑)」と語る。

そのほかには、以下のような回答があった。

「日本のドラッグストアで売っている下痢止めの薬」(中国には日本のようなドラッグストアはないし、市販の手軽な漢方薬は日本のほうが豊富だから、50代女性)
「今年のかわいいスケジュール帳」(春節後に日本に行って買う予定だったので、今年のスケジュール帳がないから、30代女性)
「抗菌グッズ」(日本のほうが消毒液や抗菌グッズをたくさん売っているから、30代女性)
「無印良品の雑貨」(中国にも無印良品はあるが、日本よりも値段が高く、アイテムも少し異なるから、20代男性)
「東急ハンズのDIYコーナーにある道具やアウトドアグッズ」(中国には東急ハンズや、似たようなショップもないから、50代男性)