来日する最初の中国人は都市部の富裕層か
今夏、中国から出国できる国はヨーロッパのいくつかの国だけに限られるようだが、中国人にとって日本は常に「行きたい国」の上位に挙げられており、日本行きを熱望する声は高まってきている。そして、もし実現できるとしたら、その旅行スタイルは「個人旅行」だ。
観光庁の訪日中国人のデータ(2019年)を見ても、個人旅行はすでに全体の7割(個人旅行向けパッケージ商品を含む)に上っており、団体旅行(3割)を大きく上回る。もしもコロナがなかったとしても、自由に自分の裁量で、好きなだけ動き回れる個人旅行を選ぶ中国人は圧倒的に増えていた。
これまで団体旅行は比較的所得が低く、内陸部の都市出身者らが「初めての海外旅行」で参加する傾向があったが、コロナ後は、都市部の比較的富裕層から順に海外旅行に行き始める可能性が高い(コロナによって、それ以前に発給済みだったマルチビザは無効となっていたが、渡航が再開されれば、手続きなしでビザの効力が回復するともいわれており、そうした人々は約200万人に上る)。となると、行き先はおのずと、ここまで述べてきたような「コト消費」ができるエリアになってくるだろう。
これからは日本人の旅行も「密にならないところ」がキーワードになるだろうが、中国人旅行客も、結局のところ、求めることは日本人とそう変わらないといえそうだ。