外務省幹部「いつも自国の都合で突然、違った方向にいく」
「いつも自国の都合で突然、違った方向にいくんだよね」。韓国によるWTOへの提訴を受けて、ある外務省幹部はこう肩を落とした。その理由は、何度も協議を重ねて、たとえ合意にこぎ着けたとしても、韓国国内の事情でいとも簡単にひっくり返される歴史が繰り返されてきたからだ。例えば、2015年12月に両国政府が「最終かつ不可逆的解決」と確認し、元慰安婦支援のために設立したはずの財団を昨年夏に突如解散。そもそもは1965年の日韓請求権協定で法的問題は解決済みであるにもかかわらず、それを平気で覆すばかりか、2018年秋には韓国の最高裁にあたる大法院が新日鐵住金(現・日本製鉄)に韓国人元徴用工への賠償を命じた。安倍晋三総理は「国と国の約束を順守することで日韓関係を健全な関係に戻すきっかけをつくってほしい」と大人の対応を見せるが、こうした裏切りの数々に日本は翻弄され続けている。
今回の日本政府による半導体関連素材の輸出管理強化についても、韓国は一時GSOMIA破棄をちらつかせて対抗し、WTOに提訴したものの米国から一喝されると昨年11月には一転してGSOMIA維持を発表、WTOへの提訴手続きを中断したはずだった。
「拳」を振り上げる余裕なんてないはずだが
韓国が冷静に足元を見つめ、輸出総額の約2割を占める半導体に必要な材料を日本から輸入している実態や、北朝鮮の脅威にさらされる中で日本の電波傍受情報やその分析が有益になっていることを踏まえれば「拳」を振り上げる余裕なんてないはずだが、お隣の国はそうはいかないらしい。
茂木敏充外相が康京和(カン・ギョンファ)外相との電話会談で「韓国側が一方的に発表を行ったことは、懸案の解決に資さず、極めて遺憾だ」と伝達し、沈思黙考するチャンスを与えていたにもかかわらず、再び強硬路線に舵を切ってしまうというのは本当に「シーソーゲーム」を好む国なのだと改めて感じる。梶山弘志経済産業相が「これまでの合意を反故にしかねない」と非難したのは当然だろう。6月1日には韓国にある日本製鉄の資産差し押さえの公示通達まで行い、日本企業の資産を売却する動きを見せるのは、あまりにも「KY(空気が読めない)国家」と言わざるを得ない。