コロナ騒動で「自分の老後」が急に不安になってしまった

焦りの色が見られるBさんに「今取り組むべき」と考えていることを思いつく限り挙げてもらいました。

・支出を見直して、貯蓄を増やしたい
・格安スマホに変更して、毎月の携帯電話代を下げたい
・節税をして、手取り額を増やしたい
・キャッシュレス決済を使い、感染防止をしながらお得に買い物をしたい
・国からもらう定額給付金はしっかりと貯めておきたい
・iDeCoやつみたてNISAなどで老後資金作りを目的に長期の積立投資をしたい

貯金は、現在380万円あります。約1年分の生活費に該当するもので、万が一の備えとしては十分です。ただ、Bさんは、これをさらに毎月コツコツ増やしていきたいというだけでなく、先ほど挙げたリストの最後の項目「長期の積立投資」に象徴されるような「お金を投資に回して、将来や老後に備えたい」という願望を抱いているようでした。

マネー雑誌も定期購読しマネーリテラシーも高いようなので「投資」に関しては実践あるのみ、ですが、Bさんはいざ行動を起こそうとすると、「ほかにやるべきことが他にあるのではないか」と躊躇する気持ちが出てくると言います。そして、そのうち頭が混乱して「何から手を付け、どのように取り組めばいいのか、迷ってしまう」そうです。

カルキュレーター
写真=iStock.com/ThitareeSarmkasat
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本人は「投資でお金を殖やしたい」が、その前に節約すべき

そこで、ひとまず家計状況をチェックしていくことにしました。

ふだん、私たちが各世帯の家計・資産状況を見ていると、それぞれの家庭で「今何をすべきか」がわかります。つまり、ムダ遣いをやめ、節約に努めて家計を健全にするべき世帯か。それとも、先を見て投資したほうがいい世帯か。多くの相談事例を見ていると、後者の投資に関しては、やってはいけない人が行い、やっていい人が止まる、動かないという傾向があります。

Bさんは「投資」に前向きですが、家計を見ると、その前に「ムダ」を省く必要があるように感じられました。月収は手取り約31万円ですが、収支はほぼトントン。自分ひとりでほぼ使い果たしてしまいます。

そこで、支出の記録をつけてもらいました。毎月何にいくら使って暮らしているのかを自分自身で客観的に把握し、その上で、削ることが可能な支出、削ることが現実的ではない支出を振り返っていきます。