天童温泉で使える「割引券」が入っている

DMC天童温泉のさくらんぼのネット通販には、もうひとつの秘策が込められている。

「お届けするさくらんぼには、天童温泉の各宿泊施設で使える宿泊割引券を同封します。さくらんぼが届いて、従業員が頑張って収穫を手伝っている姿を動画で見てくれれば、天童温泉に行ってみたいという思いが高まってくれるのではないかと思っています。今は外出を控えている時期ですが、やがて世間に旅行解禁のムードが訪れた時に、真っ先に天童温泉に来てもらえればうれしいですね」(鈴木さん)

ネット通販で買ったさくらんぼに、宿泊割引券が入っていれば、購入者がコロナ禍収束後に天童温泉に来てくれる可能性は高い。一度は天童温泉にさくらんぼ狩りを目当てに泊まりに来た“優良顧客”であれば、宿泊割引券の利用率も高いはずだ。

コロナ禍が観光業に与えた打撃は計り知れない。しかし、宿泊施設や農業の働き方改革を加速させて、SNSやネット通販を駆使して、宿泊施設の集客戦略を強化する動きは、明らかに今までの観光業界にはなかったアクションと言える。

まだまだ先が見えない状況が続くが、天童温泉の今回の取り組みが、全国各地の観光地の新しいモデルになれば、コロナ禍を機に日本の観光業は大きく変わっていくかもしれない。

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