めぐみさんは金正恩委員長の日本語教師の可能性がある

拉致問題を精力的に報道し、日本新聞協会賞も受賞している産経新聞は、2017年11月29日付紙面でこんな記事を掲載している。

記事は「乗客乗員115人を乗せた大韓航空機が1987年に爆破されたテロ事件から29日で30年となる」と書き出し、同事件の実行犯である金賢姫(キム・ヒョンヒ)元工作員が韓国国内で産経新聞のインタビューに応じ、横田めぐみさんについて「生存情報を確認している。めぐみさんは生きている」と証言。北朝鮮が帰国させない最大の理由は「めぐみさんが金正日一家の秘密を知ったからだ」と語ったと報じている。

産経の記事によると、金元工作員は1984年6月ごろ、同僚工作員の日本語教育係だっためぐみさんに会っている。金元工作員は「めぐみさんは韓国人拉致被害者の夫との間に女児を出産したが、工作員教育に関わったうえに公にできない『秘密』を知ってしまった。それで北朝鮮は死亡したことにしている。一番は金正日一家との関わりだ」と話した。

金元工作員は、「めぐみさんは離婚した後、金正日一家の日本語教師をしていたとの情報を得た」とも話した。産経の記事は、金正日の息子で現在の最高指導者の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が幼少時に日本語を学んでいたことから「金一家の子供たちが対象だった可能性もある」と指摘している。

北朝鮮が公にできない「秘密」とは何なのだろうか

北朝鮮が公にできない秘密とは一体、何なのだろうか。さまざまな情報や推測が飛び交い、謎は深まるばかりだが、北朝鮮にとってよほど国際社会に知られては困る秘密があるのだろう。

そもそも日本から無理やり連れてきた13歳の少女がいかにして北朝鮮の最高指導者一家に信頼され、家庭教師という側近中の側近にまで上り詰めたのだろうか。めぐみさんは「必ず日本に帰れる。優しい父が助けに来てくれる」と固く信じ、北朝鮮で相当な努力を続けたはずだ。あの横田滋さんの娘であることから考えると、賢くしっかりした女性に成長したことは間違いない。

滋さんは体が弱り、2017年4月の拉致被害者の救出を求める国民大集会を欠席した。そのときにこんなビデオメッセージを寄せている。

「めぐみちゃん、お父さんですよ。ここら辺で必ず解放されると信じています。いま、めぐみが隣の部屋で待っているような感じがしています。もうすぐ会えるかもしれませんが、体だけは気をつけてください」

このメッセージをテレビのニュースで見て目頭が熱くなったのを覚えている。北朝鮮の金正恩委員長も見ていたと思うが、彼に人の心というものがあるのなら、めぐみさんたち拉致被害者全員を早く帰国させてほしい。