「前年比94%」をキープした新大阪のバー
同様の報告は他にもある。新大阪のバー「バーキース」からのものだ。こちらは営業自粛、午後8時までの営業となるとさらにダメージの大きい「バー」である。しかしこの4月、結果的に前年比で6%しか売り上げを落とさなかった。
こちらの店が行ったことはテイクアウトだ。と言ってもバーである。ショット売りのウイスキーやカクテルのテイクアウトはできないため、テイクアウトメニューは、「フィッシュ&チップス」「チキン&チップス」「自家製レーズンバターと酒の肴」「ドライカレー」の4種、各1000円。これだけだった。
それでも結果は前年比94%。緊急事態宣言下、ちまたの多くの飲食店はテイクアウトやデリバリーなどに切り替えたが、そうした店もみな、同じような成果が出ただろうか。この店とそうでない店との間にどんな違いがあるのだろうか。
SNSの告知で「すぐ注文してくれる」顧客がいた
これらの例に共通しているのは、まず“顧客”の存在だ。顧客ならどんな店や会社にもいるのではないかと思う方もいるかもしれないが、ここで言う顧客とは、繰り返しあなたの店や会社で「買う」意思・意向を持つ存在、そして実際に買ってくれる存在のことだ。なぜ、繰り返し買う行動をしてくれる存在だけを顧客とみなすか。それは、お客さんの買うという行動だけが、売り上げを生み出す唯一のものだからだ。買う行動をする意思・意向を持った存在、”顧客”をどれだけ保持しているか、それが商いを持続的に支える決定的に重要な要素となる。
実際、「ばんどう」も「バーキース」も、平時から、ここで言う意味を踏まえた顧客作りに励んでいる。そして今回店主らは、弁当やテイクアウトを始めたことをSNSなどを通じ伝えた。すると顧客はすぐに動いた。「ばんどう」の弁当には遠方の顧客も含め注文が殺到し、「バーキース」のテイクアウトにも顧客から次々と注文が入ったのだった。
つまり、こういったとき、店や企業を支えるのは“顧客”だということだ。平時よりどれだけ顧客を作っておくことができるか。どれだけ顧客を維持しておけるか。その活動がこうしたときに生きる。