執拗な電話で担当者を追い込むクレーマー。医療機関も行政も民間企業も、一部の者による心ない電話で疲弊してしまう。こうした被害を最小限にするにはどうすればいいのか。弁護士の島田直行氏は「コロナ禍の不安に駆られた人が悪質なクレーマーになる恐れがある。電話対応での4つのポイントを参考にしてほしい」という――。
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不安に駆られた人がクレーマーに変貌する

新型コロナウイルスによる影響で、個人あるいは企業に対する貸付や給付の制度が立て続けに決まっている。救済のために制度を組み立てることは必要だが、申請手続がわかりにくいという声も少なくない。

手続の現場では、「明日の生活のために一刻も早く」という問い合わせが殺到しているそうだ。雇用維持のための雇用調整助成金にしても、知り合いの社労士の方は「なんとかしてあげたいけれど自分のキャパの限界もある」と嘆息をついておられた。

もっとも周りの事情関係なくすべて「自分の視点」で語りたがる悪質なクレーマーもいる。制度の負担は現場にもたらされる。

こういった現場の疲弊は、電話というありふれたものが原因になっていることも珍しくない。弁護士として「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の相談を受けるなかでも、電話に関するものが圧倒的に多い。

「10万円の給付金はまだか」
「いつになったら給付金が出るんだ」
「どうしてすぐに電話がつながらないんだ」
「今すぐ謝罪しにこい」
「話にならない。上司をだせ」

こういったクレーマーは、執拗な電話で担当者を追い込んでくる。医療機関も行政も民間企業も、一部の者による心ない電話によって現場担当者を追い込まれているのが実態だ。電話越しの顔の見えないクレーマーにどう対処すれば良いのだろうか。