時間と気力を奪う「とにかく終わらない電話」

相談事項として多いのが「クレーマーからの電話が終わらない」というものだ。悪質なクレーマーは、電話で一方的に自分の意見をまくし立て、電話を切らせてくれない。とくにカスハラの場合には、「わかるでしょ」といったように担当者に強い同調を求めてくる。

①「お客様が電話を切るまで待つ」は愚策

担当者としても明確に拒否もできないために、さらなる深みにはまってしまうことになる。人の話を聞くというのは、話すよりもエネルギーを奪う。新型コロナウイルスの影響で電話による問い合わせが殺到するなかでこれをされると本当に心が折れる。しかもクレーマーは、1日になんども気軽に電話をしてくる。

こういった事態になるのは「お客様の電話を切るのは失礼なこと。相手が電話を切るまで待っておかないといけない」という心理だ。どれほどひどいことを言われても「お客様だから」というだけでじっと付き合わないといけないというのはあまりにもつらい。

また電話の担当者は「電話でお客様を待たせることは良くないことだ」と考えている。クレーマーは、そういった心理を巧みに利用してくる。

組織として電話を切るための統一ルールを作る

終わらない電話には、自分で電話を切るという割り切りが必要だ。さりとて多くの人は話している最中に一方的に電話を切るという経験はあまりないだろう。「電話を切る」というのも相当のストレスがかかる。

そこで用意しておくべきものが統一された対応ルールだ。

企業には、電話対応のマナーはあってもルールがない。これでは担当者によって対応が違うということ自体が、新たなクレームの火種になってしまう。会社としての一体感がある対応というのは、クレーマーに同じ対応をするということだ。そのためルールあるいはマニュアルといった類いのものを事前に策定しておくことが必要になる。

②「一人30分」も話を聞けばもう十分

とくに最初に決めておくべきなのが電話の時間だ。一人30分も話を聞けば、普通の内容であれば終わる。それよりかかるようであれば感情的に言われているだけの場合が多い。実際のところ「電話の切り方がわからない」という相談は多い。

そういうときには「御電話ありがとうございました。弊社では新型コロナウイルスの関係で多くの問い合わせをいただいております。そこでおひとりの電話を30分とさせていただいております。連絡をいただきました内容については改めて書面にてお伝えします」と回答するようにすればいい。

事前に「一人30分まで」と意思統一をしておくことが重要になる。