急速な変化の中で日本がやるべきこと

コロナショックを境に、IT先端技術が今後の経済に無視できない影響を与えることが一段とはっきりしたと言える。そのような中、わが国にはデジタル化を支えるITプラットフォーマーやITハードウエア分野を中心に、グローバルに競争力を発揮できる企業が見当たらない。

この課題をどう解決し、世界経済全体の急速かつ大きな変化に対応するかが、わが国の将来にかなりの影響を与えるだろう。

人と人との接触を避けるためにもデジタル技術は重要だ。感染症のリスクを抑えるには、人との接触だけでなく、人が触れたものに触れないことも重要だ。

そのために、非接触技術の導入が増えている。赤外線センサーを搭載し手をかざすことで行先フロアを選べる非接触型のエレベーターやドアなどの導入が進んでいる。さらには、キャッシュレス化や中央銀行のデジタル通貨開発も加速するだろう。

わが国はこうした変化に対応しなければ、世界的な競争に打ち勝つ力を持てなくなる。そのために必要な取り組みの1つが、政府が規制緩和などを進め、構造改革を実行することだ。

コロナショック対策としてのIT先端技術の活用、デジタル技術を用いたビジネス継続などを見ていると、わが国の取り組みのかなりの部分が米中企業をはじめ海外の要素に依存している。一朝一夕にITプラットフォーマーを育成することはできない。特に、中国政府は産業補助金などを通してIT企業の成長を強力にバックアップしている。

オープンイノベーションをどうやって支えるか

もう1つ、わが国が強みの発揮を目指すには、企業のオープンイノベーションを支えることが重要な取り組みとなるだろう。

すでにトヨタ自動車はIT業界との提携などを通して新しい移動サービスのビジネスモデル構築に取り組んでいる。そうした取り組みを政府は規制緩和などを通して支えなければならない。企業が変化に対応し付加価値を創出できる人材の登用を進めることの重要性も増している。

反対に、バブル崩壊後のわが国が陥ったように、既存の産業構造の維持や保護などが重視されると、世界的な“メガチェンジ”というべき変化に対応することは一段と難しくなる。その場合、国内経済は縮小均衡に向かい、社会全体の活力が低下する恐れがある。

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