外資系メーカー社員が全国の猫カフェを視察し、7年かけて開業準備

「私が猫好きになったのは、20年前に実家の裏で、親猫とはぐれた子猫を拾ったのがきっかけです。猫の美しさや動きの愛らしさに魅了され、その後ブリーダーから純血種を迎えました」

店内写真
筆者撮影
店内写真

猫への愛情が高まるうちに、「猫カフェを開業したい」という思いが強くなった由美子さんは、神戸市内の外資系メーカーに勤務する会社員だ。仕事の合間に全国の猫カフェを視察し、物件探しも開始した。しかし、猫への深い愛情ゆえ、どうしても「テナント物件を借りて、閉店後は猫を置いて自宅へ帰る」ことが耐えられない。そのため、実家を改装して開業することを決意した。家族と相談を重ね、事業計画を何度も作り直し、銀行から約3000万円の融資を受けて開業するまでに7年を要した。

南側が一面ガラス張りの店内は、日当たりが抜群で風通しもバッチリ。「毎朝2時間、2人がかりで徹底的に掃除する」という店内は清潔に保たれており、においもほとんど感じない。何よりも、猫たちがとても穏やかにくつろいでおり、猫どうしの仲がよいのが印象的だ。

猫を取り巻く諸問題:その1「殺処分」

開業の準備をしながら、由美子さんは神戸市の猫の保護活動にもかかわった。殺処分される猫を減らしたいとの思いからだった。

「今も日本の飼い猫の7~8割は雑種だといわれています。昔は野良猫も多く、強い繁殖力でどんどん増えていきました。現在ほど動物愛護管理法が整備されていなかったこともあり、庭を荒らしたりする猫は害獣扱いされ、殺処分されてきました」

殺処分を減らすための「TNR活動」についてご存じの方もいるだろう。野良猫に対して「Trap:捕獲、Neuter:不妊去勢手術、Return:元の場所へ戻す」を行うもので、ボランティアや獣医師たちが、自治体と連携して行うことが多い。それでもまだ、日本全体では年間3万件を超える猫が殺処分されているのが実情だ(犬の殺処分は約8000件)。

【図表】全国の犬・猫の殺処分数の推移
出所:環境省統計資料より筆者作成

「先進国、たとえばアメリカでは、ペットショップの店頭で動物は売られておらず、フードやグッズだけが売られています。殺処分ゼロの国もあります。こんなに殺処分が多いのは日本ぐらいで、異常だとみなされています。こうした現状をなくすべく、日本でも多くのボランティアや保護団体が、飼えなくなった猫を保護して新しい飼い主を探すという活動に取り組んでいます」

欧米の多くの国では、日本よりもはるかに多いボランティアや保護団体が活動している。国からの支援が手厚いことや、寄附文化が影響しているようだ。そのため、猫を家族として迎えようとするとき、選択肢としては「保護猫を迎える」、または「飼育についての知識が豊富なブリーダーから迎える」の、どちらかであることが多い。その際にはしっかりと飼い方が伝えられるため、無責任な飼い主が発生しにくい環境にある。

「残念ながら、日本のペットショップの中には、高値で売って売りっぱなしのところもあります。だから、正しい飼育方法を知らないまま飼って、理想とのギャップを感じると、簡単に捨ててしまう飼い主もいるのです」