国内ユニクロ、EC伸びそう

この“情報製造小売業”へ転換する上で、リアル店舗とネット通販(Eコマース)の融合は、大きな鍵となるものです。その成功を左右するのが、配送システムのさらなる進歩。Eコマースで商品を購入した消費者が、当日もしくは翌日に受け取れる配送システムを整備することや、近くのユニクロとコンビニが連携し、商品をコンビニエンスストアで受け取り、返品もできるという仕組みも整える、このプロジェクトの強化を今後さらに進める。

売上収益は1兆2085億円、前年同期比591億円の減収となりました。これは、ジーユー事業が150億円の増収となった一方で、海外ユニクロ事業が387億円の減収、国内ユニクロ事業が277億円の減収となっています。

さらに、今後カギになるEコマースについて、詳しく分解してみます。国内・海外ユニクロ事業、ジーユー事業において、コロナ以前からEコマースの拡大に注力しています。2019年8月期に公開されているデータでは、売上高に占めるEコマースの割合は、国内ユニクロ9.5%、海外ユニクロの中国大陸では30%となっており、国内ユニクロではまだまだEコマースの浸透余地があることがうかがえます。

セール商品として、売り切る必要はない定番商品を在庫調整

今回のコロナ禍では国内ユニクロに関しては、Eコマースの売上高が前年同期比8.3%増(525億円)と実は伸びていたことで、今後の成長性をさらに感じられたことも今回の決算の印象を良くしています。

資金面については、今回のような経営環境の激変に即座に対応するために必要な分は以前から少しずつ準備しており、「当面、資金面に問題はなく、今後もシステムや物流関連などの領域における投資や、世界各国への出店を積極的に行う」といった、力強いメッセージが投資家に届いています。

ユニクロが目指すLifeWear(究極の普段着)というコンセプト。非日常ではなく日常的にユーザーが求める服を、いち早くつくったことがユニクロの急成長を支えてきました。今期は、さらにLifeWearの強化を行い、スポーツユーティリティウェアと、エアリズムの商品ラインナップを拡充しています。スポーツユーティリティウェアは、スポーツにも着用できて、日常着としてもおしゃれに着られる商品で、トレンドに左右されにくいため、セール商品として売り切ることが基本的には必要ないことも、業績面での安心材料です。