外で運動する人々は「外出自粛しない不届き者」なのか

スポーツ競技の世界には、「練習のための練習はするな」という言葉がある。

たとえば、腕立て伏せだ。選手自身が、自分が今、体のどの部位を鍛えていて、それがパフォーマンスアップにどうつながるのかを理解していないとあまり意味がない。しかし、3流のアスリートは、その練習の目的を見失っていることが少なくない。ただ単に腕立て伏せをしてしまう。いつしか手段が目的になっているパターンだ。

これと同じことが最近の新型コロナウイルス対策にもいえるのではないか。

都立公園の掲示板に貼られたポスター
都立公園の掲示板に貼られたポスター

本来は「感染しない健康な体を維持する」ことが大きな目的のひとつで、そのために「新型コロナウイルスの感染を予防する」ことが行われているはずだ。当初から感染拡大の予防として、「3密を避ける」と言われてきたが、それに近頃「ステイホーム」という新たな文言が加わり、外出している人たちを“攻撃”する人たちさえ現れた。

SNSの投稿では、ランチ時にできた弁当屋の行列を見て、「こんな時期なのに並ぶかな」と苦言を呈する人や、「この1週間は買い物で2回外出しただけです」と自らのステイホーム・ライフをプチ自慢する人も現れた。屋外での感染リスクは極めて低いが、「ランナーは、当然マスク着用すべし」と義務的なトーンが日に日に強まっている。

来年に延期された東京五輪を目指すアスリートも、グラウンドや室内の練習施設が閉鎖しているため、公園や河川敷でトレーニングをしている。彼らにすれば、外での運動は「仕事」になるはずだが、世間からは「外出自粛しない不届き者」とでも言いたげな厳しい視線が浴びせられているという。

GWは3密を回避しつつ、外で清々しい時間を過ごすのがコロナ対策

目的は「感染を防ぐこと」だったのに、いつの間にかそれが「自宅から出ないこと」に変わっているのだ。本来、外出そのものは悪ではなかった。つまり、自宅にいることが正義ではなかったはずだ。感染しないための健康体を維持するために工夫をすることが“正解”だろう。

安倍晋三首相は2月26日に「この1、2週間が感染拡大防止に極めて重要です」と話していたが、その後もことあるごとに「この1、2週間が正念場」と繰り返した。現在は「緊急事態宣言」が発令されている。5月6日に期限を迎えるが、全国一律で延長する方向で検討しているという。自粛ムードはまだまだ続きそうだ。

前述したように、子供たちの外出機会がなくなると、体力面だけでなく、精神面での不調が危惧される。短時間でもいいので子供たちを外に連れ出して、身体を動かす機会を作らなければいけない。でも、近所の目が気になる。そんな葛藤を抱えている親子は多いだろう。

新型コロナとの戦いが長期戦になれば、適度な運動は推進されるべきだろう。感染した可能性があったとしても、現状の日本では、すぐにPCR検査が受けられるわけではない。しかも、感染が確認されたとしても症状が軽い場合は入院できない。結局、頼れるのは自分の免疫力と体力だけなのだから。

ゴールデンウイークは外で過ごすのに気持ちがいい時期だ。3密を回避しながら、外ですがすがしい時間を過ごして、心身ともに健やかに過ごすことこそ、各家庭が最優先すべきコロナ対策ではないだろうか。

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