新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、東京都は5月の大型連休を「ステイホーム週間」と呼び、一層の外出自粛を呼びかけている。そのため都は公園の遊具も使用禁止にした。スポーツライターの酒井政人氏は「遊び場所が減り運動不足になれば、子供の免疫力は落ちる。そうなれば再開した学校が『クラスター』となるのではないか」という——。

子供の運動不足をもたらす「公園の遊具禁止」は勇み足だ

4月24日の夜に流れたニュースを見て、小学2年生の息子が「僕らはどこで遊べばいいんだよ」と憤慨していた。25日から都立公園の遊具(滑り台やブランコ、ジャングルジム、砂場、鉄棒など)が使用禁止になったからだ。

新型コロナウイルスの感染が広がる中、「3密」(密閉・密集・密接)に該当しない公園でも感染拡大のリスクがあるのは理解できる。政府の新型コロナ感染症対策専門家会議は、接触8割減へ向け、日常生活の指針「10のポイント」を提示し、「ジョギングは少人数で、公園はすいた時間、場所を選ぶ」ことを訴えている。

これを受けて、東京都は4月25日~5月6日まで都立公園などの公園利用自粛を求め、遊具の使用の禁止・閉鎖を決めた。感染拡大を歯止めがかからない状況への対抗策であることはわかるが、これはいささか“勇み足”ではないだろうか。逆効果になってしまうのではないか。

専門家会議が指示する「公園はすいた時間、場所を選ぶ」ようにした上で、遊具にウイルスが付着しているリスクがあることを前提に、親の責任で、子どものマスク着用と、遊具使用後の手洗い・消毒を徹底すればいいことだろう。

都内の小学生は3月上旬からほとんど学校に行くことができず、筆者が住んでいる江東区では、次の出校日が5月7日の予定から31日に延期された。息子が通っているサッカースクールやスイミングスクールも「当面の間」休校中となる。

公園で遊べない子供は結局、ゲームをするしかない

4月中旬くらいからは、スーパーやコンビニの買い物にも家族(複数人)で同行できないような雰囲気となり、子供たちのイライラはいつ爆発してもおかしくない状況だった。そこに遊具の使用禁止である。息子は「ストレスがたまる」と言って、決して広くない家のなかを走り回っている。こういう状況になると、多くの親はテレビやゲームで子供たちの気持ちを紛らせているのではないだろうか。

小学校の授業にも「体育」はあるし、子供たちが遊ぶことは大人の“仕事”と同じだろう。このご時世で、思い切りカラダを動かすことができる数少ない場所のひとつが公園だった。しかし、遊具が使用できないとなるとどうだろう。公園は小学生にとって、ただの広場でしかない。

ひとりでボール遊びをしても楽しくないし、散歩やランニングではときめかない。小学生が唯一ともいえる外遊びが公園の遊具になる。それが使用できなくなると、公園に行きたい気持ちがなくなり、カラダを動かす機会を失うことになる。

この機会逸失の「弊害」は思いのほか大きいと筆者は考える。