法学部人気の裏には、マジックがある

一方で慶應は、かつて経済学部が「看板学部」だったが、前述のように、その地位はいまや法学部に取って代わられてしまった。その理由について、安田さんは次のように説明する。

「法学部人気の裏には、マジックがあります。法学部は経済学部と違って、AO入試での募集枠を拡大したりしたため、一般入試枠が狭き門になり、その影響で偏差値が上昇しました。それで、“私大文系の最難関”という一種のブランドになったのです。また、法学部はセンター試験利用入試を実施していたことも人気になった理由でしょう」

オバタさんは別の事情も明かす。

「慶應の学部の偏差値は、内部生の人気度にも左右されます。文系では、法学部政治学科が内部生に最も人気が高く、成績優秀でないと入れません。経済学部と就職実績で遜色ないうえに、単位取得がラクというのがその理由。学問の内容よりも実益で学部を選ぶのが、慶應らしいところですね」

安田賢治
安田賢治(やすだ・けんじ)
大学通信 常務取締役
1983年に大学通信入社。以来、大学をはじめとするさまざまな教育関連の情報を、書籍・情報誌を通じて発信。
 

オバタカズユキ
オバタカズユキ
コラムニスト
著書は『早稲田と慶應の研究』(小学館新書)などのほか、『大学図鑑!』(ダイヤモンド社)を監修。
(撮影=早坂卓也、石橋素幸)
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