【メーカー】うちの会社は、表向きは大学による昇進の差はないことになっています。ただ、どこまでいっても昇進や異動が決まるときは部長同士の話し合いで決まるので、最後は部長たちが評価している親しい部下や後輩が選ばれます。いまの部長たちは慶應と同志社が多いので、全体として見るとその2校の出身者が配属でも優遇されています。早稲田はメインストリームにはいないですね。

出身大学よりも昇進に影響を与えるモノ

【コンサル】うちは案件獲得が昇進決定のすべて。よりインパクトのある大きなプロジェクトや最先端のプロジェクトを持ってきたり。自分で切り開いて成果を出して、まわりに実力を認めてもらった人が昇進していく。学歴の恩恵なんて感じたことはないですね。

――なるほど。昇進でいえば、学歴に加えて、政府が旗振りをしていた女性活躍で、女性の抜擢も増えてきているかと思います。その影響はいかがですか?

【IT】私は前職で政府系の研究機関の人事部にいたのですが、そこでの最初の仕事が、女子学生に役員がつけた面接の評価をマイナスに書き換えるという仕事をしていました。

――それはなんでなんですか?

【IT】面接の結果を書き換えないと評価上位が全部女性になってしまうからです。男社会の闇を感じましたね。

【メーカー】うちも女性には出世するというキャリアパスがないんです。女性には出張させられないとか、転勤させられないとか、逆配慮ですね。入り口は一緒なのに、役職が上がれば上がるほど、厳しくなっていく。数年前に部長職に女性を中途採用しようとしたら役員たちから「女性に部長が務まるわけがない」と言われたこともあります。

――女性活躍と言いながら、実態はまだ男社会なんですね。

【メーカー】差別という意味では、学歴より男女のほうがきつい。学歴で入った後に差別されることはないと思うんです。でも男女のことは、入るときも入った後も続く問題。

【金融】うちは経団連にも所属しているので、政府が女性の管理職比率を20%にしろと言っていたのに合わせて、評価にゲタを履かせて昇進を早めました。最初のうちはよかったのですが、毎年少ない女性社員のなかから候補を探すので、最近は候補すらいなくなって困っています。

――実際、無理に昇進させて問題はありますか?

【金融】任せられる仕事に対して能力や責任、そもそもやりがいみたいなものがマッチしていないので負荷が多くなってヒーヒー言いながら働いています。しかもうちの場合、転勤のない一般職から管理職のポストに上げていこうとしているので、本人たちが可哀想ですね。

(撮影=市来朋久)
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