「なぜ4回も5回も通わなきゃならない?」。歯科医への不信感から、疑念を覚える向きもあろう。しかし、時間がかかるのには理由があって――。

死んだ歯を残すのは遺体との同居に似る

多くの人が「歯の治療には通院回数と時間がかかる」と感じているでしょう。なので「いま忙しいので、時間が取れない」と言い、歯科へ行かず放置している人は結構多い気がします。

通常の治療の場合、まず腫れや痛みなど症状の原因部分を治療し、次に被せ物や入れ歯など、噛む機能や見た目の審美性を再現する、2段構えの治療で進めていきます。時間が「かかる」か「かからない」かは、虫歯や歯周病の進行度合いにより異なってきます。

実際、治療に来られる方は、かなり悪化してからというケースがほとんど。それが時間の浪費に直結していく例を順番に見ていきましょう。

まず、極度に悪化した虫歯・歯周病は、治療の時間自体は短くて済みます。なぜなら、抜くほかないから。歯が溶けていたり、グラグラして気になる状態まで進行していると、修復・再利用は難しい。抜歯の治療は1回で1本。数本まとめて抜くこともあります。ひどすぎるがゆえに、すぐ解決できるわけです。他の歯に悪い影響が出る前に、まずは受診してください。