政府の対応が輪をかけて経済的な問題を引き起こす

また、修正された補正予算では国民の大半の人が受給できない30万円給付金は削除されることになり、全員が一律10万円の給付を受けられる形となった。これ自体は評価したいところであるが、米国ではすでに国民一人頭12万円の給付金が既に4月12日から配布され始めている。日本では早くても給付金の受け取りは5月中とされているのに比べ、日米では給付金を人々の元に支給するスピードも雲泥の差だ。経済対策は必要な時期を逸すれば途端に有効性が落ちてしまうものだ。日本政府の政策は、一事が万事、少なすぎる、遅すぎる、偽物すぎる、を地で行く状況となってしまっている。

では、日本を未曽有の大不況に突き落とす原因は一体何であろうか。もちろん、新型コロナウイルスの存在が問題であることは言うまでもない。しかし、政府の対応自体が輪をかけて経済的な問題を引き起こしている。

日本の緊急事態宣言は、欧米のような強制力を持った都市封鎖を行うものではなく、国民に自粛を求める仕様となっている。しかし、それでもメディアによる私刑と組み合わさった政府の「要請」は、事実上の強制力を持っていることは自明のことだ。たとえば、大手企業であれば自らのブランドイメージを保つため、政府に率先して協力せざるをえないことは大人なら誰でもわかる。

無能ぶりを世間に晒し続けている安倍晋三

一方、資金繰りに余裕がない中小の店舗では営業を継続するところもあるかもしれないが、こちらは政府に大義名分を与えられた“正義マン”による事実上の摘発活動が盛んになっている。たとえば、4月20日まで大阪府ではコールセンターに、特措法の休業要請の対象となっている店が営業しているという通報が500件以上寄せられており、テレビメディアも自粛に必ずしも十分に応じていない商店街や行楽地などを槍玉にあげる報道を継続している。このような動きによって自治体が「要請」に従わない施設の名称を公表し、SNSなどでの私刑を実質的に推奨する結果を招きかねない状況も生まれている。

東京都などが独自の補償措置に動き始める中、安倍政権は補正予算の一部を地方自治体が補償に使用することを渋々認めた。しかし、家賃の補填については、いまだに政府案を作るのか、与党案を作るかさえも定まらず、その無能ぶりを世間に晒し続けている。危機に際して民間に責任をほぼ丸投げにするなら、政府に支払う税金など溝に捨てるのと同義だ。