タワマンを買う中産階級(パワーカップル)たち
タワーマンション(以下タワマン)は、地震国である日本には元来なじまないものであった。しかし都心や湾岸部での規制緩和(容積率緩和)や耐震技術の進歩により、続々とタワマンが林立し、2000年代以降、いわゆるタワマンブームが到来した。現在、日本全国にタワマンは1300棟以上、東京都だけでその3割にあたる400棟が存在する。
本当の富裕層はタワマンを買わない。この国の伝統的富裕層は、もともと都心部の地価の高い住宅地に伝統的に土地所有権を有しているので、4階未満の一戸建て住宅に住む例がほとんどである。そして後述するが、マンションにおける区分所有という所有権形態が、大規模修繕や建て替えのときに自分だけの意思ではどうにもならない難物であると知っているからである。
タワマンブームが起こったゼロ年代初頭、タワマンの主力購買層はニュー・リッチと呼ばれる後発の富裕層であった。いわくそれは株や起業で財を成した新興の富裕層である。しかしタワマンがここまで普遍的になると、マンションデベロッパーはその購入ターゲットを新興富裕層からそれ以下の中産階級に拡大させざるをえなくなり、現在タワマンの主な購買層はパワーカップルと呼ばれる中産階級が担っている。