安倍の甘すぎる見通しに悲鳴をあげる自治体

緊急事態宣言を発令しても「自粛と要請」に頼る安倍政権の対応について、英経済紙フィナンシャル・タイムズは「部分的なロックダウン」と表現したが、危機管理の要諦は最悪の事態を想定したうえで、情報公開をしつつ、国民の理解と協力を得ながら対策を進めることだろう。宣言の期間である1カ月のうち、半分にあたる2週間の自粛効果を見極めたうえで追加措置を打つとした政府に対しては、「こんな甘い見通しで本当に大丈夫なのか」などと自治体からは悲鳴があがっていた。

悠長な構えの国に対し、「都民の命と医療現場を守るためには待っていられない」と小池都知事は4月10日に事業者に対する休業要請に踏み切り、様子見を決め込んでいた他自治体も追随したが、現場を預かる都道府県知事と国の危機感の違いには雲泥の差がある。4月初めからの全国的な感染者数の増加については、ウイルスの潜伏期間から3月20~22日の「3連休の緩み」が影響したと見る向きもあるが、これは3月10日の政府対策本部で安倍総理が「今後おおむね10日間程度は、これまでの取り組みを継続するようお願いしたい」と発言し、同14日の総理会見では「(感染者数は)一定程度、持ちこたえているのではないかというのが専門家の皆さん評価」などと安心感を誘ったことが影響したとの指摘もある。

安倍の発言は「3連休の緩み」を生んだ

ある全国紙政治部記者は「『それまで自粛を頑張れば、逆に3連休は外出していいんだ』との誤ったメッセージになった。東京や大阪だけでなく、全国的にその後の感染者が増加したことを考えると、総理の発言は『3連休の緩み』を生んだ原因になってしまったともいえる」と語る。

さて、日本は緊急事態宣言の期限である5月6日をどのように迎えるのか。ある感染症の専門家は「今のところ感染者の減少の兆しが見えないため、5月7日からは、より強硬な措置をとらざるをえなくなるのではないか」と語る。対策後の効果がわかるまで約1カ月間が必要のため、仮に期間を延長すれば「出口」は今夏前がギリギリになるだろう。

「より強硬な措置」——。小池氏が3月末に発した「ロックダウン」についての評価は、その後1カ月近くを経て変わりつつある。美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長は3月31日、ツイッターで「ロックダウンは昔から、蔓延する疾病に対する正攻法です。感染の可能性のある対象を閉じ込めて接触を絶てば武漢肺炎の終息は必ず早まります。早ければ早いほど良いです」とつづり、4月15日には「腹をくくって、政治生命をかけて武漢なみの都市封鎖をすべきです」とも提言した。すでに国民民主党は「ロックダウン法案」提出を視野に検討を進めているという。

無能が確定した安倍総理よりは…

2月末の記者会見で「政治は結果責任だ。その責任から逃げるつもりは毛頭ない」と決意を語ったものの、4月7日には「私が責任をとればいいというものではない」と修正した安倍総理。その一方、当初は批判を一身に受けていた小池都知事には「有事に強い」「先見性がある」などと評価する声があがる。危機に際しての指導者たちのリーダーシップが問われる中、総理は腹をくくった対応をすることができるのか。緊急事態宣言を延長する場合には、国のトップとして、あらかじめ、わかりやすく、その見通しと措置を国民に示す責任をまずは果たしてもらいたい。

もし、“小池総理”がコロナを対応していたら、今ごろ日本どうなっていただだろうか。タラレバの議論は不毛かもしれないが、少なくとも「大きく構える」“小池総理”の方が、存在感皆無で「無能が確定した」安倍総理よりも国民は安心を得ることできたのではないだろうか。

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