高リターンが期待できるのは本当なのか

実際のところ、ウイスキーは投資に向いているのでしょうか。

ひと昔前まで、ウイスキーに投資して資産形成を目指すなんて考えられませんでした。しかし数年前から、ウイスキーは投資対象として注目を浴びるようになり、私自身、ウイスキーの専門家として、ビジネス誌や金融関係のメディアから取材を受けることが多くなりました。なかには、英字紙や海外メディアの取材も含まれています。

私は投資の専門家ではないので、ウイスキーが果たして投資物件たりうるのかどうかは判断できません。1人のウイスキーファンとして、「ウイスキーは投資対象ではなく、飲んで楽しむもの」という思いもあります。

ただ、ウイスキー投資がリターンを出しているのは確かなようです。正確な数字、出典は残念ながら忘れてしまったのですが、以前読んだ記事で、「ミレニアムから2010年までの10年で元値よりも価値が上昇したハイリターンな投資対象」としてウイスキーが挙げられていました。10年スパンでの投資リターンは400%だったと記憶しています。これが本当ならば、かなりの高リターンです。

ウイスキーが投資に向いている理由

投資対象となっているお酒と言えば、以前は真っ先にワインを思い浮かべる人が多かったと思います。投資商品としてワインとウイスキーのどちらがより魅力的なのかについて、私が判断を下すことはできません。

ただ、ウイスキーがワインよりも圧倒的に有利な点があります。それは保管のしやすさです。ワインは非常にデリケートな飲み物です。ボルドーのシャトーの高級ワインであっても、保存状態が悪ければその価値は失われます。いいワインになればなるほど管理には気を遣わなければならず、そのための設備投資も必要となります。

一方、ウイスキーは熟成が終わって瓶詰めされてしまえば、ほとんど品質は変わりません。もちろん、直射日光にずっとさらされたり、温度変化が激しい場所に置かれたりすれば劣化はしますが、ワインほどではありません。この点に限れば、ウイスキーは長期保管が前提となる投資物件に非常に向いていると言えるでしょう。