没落した「娯楽の王様」

30兆円産業・庶民の娯楽・不況に強いなどと言われ、栄華を極めていたパチンコ業界。だが、その華やかさは失われ、今や斜陽産業となりつつある。

台入れ替えの費用を賄えず、廃業するホールも出てくることだろう。
台入れ替えの費用を賄えず、廃業するホールも出てくることだろう。

それを如実に表すのがパチンコ店の店舗数だ。各パチンコホールが加盟する全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)の発表によると、1995年には全国に約1万8000店もあった店舗は2016年には一時1万店を割り、2020年1月には8000店台にまで減少している。ここまで店舗数が減ったのは、遊技人口の低下が原因だ。

レジャー白書によれば、95年のパチンコ参加人口は約3000万人。だが、現在では1000万人を割り込んでいる。なぜここまで遊技人口が減ってしまったのだろうか。

その要因のひとつに、ギャンブル性の低下があげられる。パチンコ台は大当たり確率や1度の大当たりで払いだされる玉の上限などに、国が定めた規則が定められている。これをクリアしなければ、パチンコ店に台を設置することはできない。店舗軒数、遊技人口共にピークだったころのパチンコ台は、一撃の出玉性能がとても高く、多くの人を虜にしていた。

だが、それは同時にギャンブル依存症などの社会問題を誘発した。それを境に規則は徐々に厳しくなっていき、ギャンブル性は低下していくこととなった。大きく勝つことも負けることもできなくなった現在のパチンコにユーザーは物足りなさを感じ、ホールは大きな収益を上げられなくなっていった。