価値観ほぐしのコツ③デバイスはそのままで、アプリを足していく

古いパソコン、使い込んだスマホ。50代以上の自分を、そんなふうにたとえて理解すると、しっくりくることがあります。もう機種変更はできないけれど、あと50年稼働させなければならないデバイス。ハードディスクには思い出もたっぷり詰まっていて、ちょっと負荷を大きくすると、熱くなってフリーズする(笑)。

でも、使わなくなったアプリをアンインストールして、代わりに新しいアプリを入れれば、わりとサクサク動くようになります。もちろん、新しい機種(若い人)ほどサクサクは動かないけれど。それが、あなたの「価値観2.0」の目指すところです。

やりたいことはたくさんあっても、たくさんのアプリを入れるとそれだけで動けなくなるのがあなたのデバイスの現実ですが、工夫次第です。

新しいアプリは、価値観でもあり、生きがい探しでもあります。試しにインストールしてみて、本体に負荷がかからないか、使いやすいか、動作確認をしてみる。今ひとつだなと思ったらすぐ削除して、別のアプリを探せばいい、ぐらいの気楽な構えでとりかかります。

「否定」ではなく「付け足し」をする

前の自分もいいけれど、ほかにも違う自分を付け足していくのが、価値観ほぐしです。

下園壮太『50代から心を整える技術』(朝日新書)
下園壮太『50代から心を整える技術』(朝日新書)

料理でいえば、もう基本のだしはととのっている。あとはスパイスを足していくだけ、そう思うと、ちょっと気分がアガるかもしれません。

よく、うつになった人が「私の考え方が私をうつにしていたんですね」と反省しますが、私は「違いますよ」と言います。「その考え方はあなたにとって必要で、今までのあなたを支えてきたんです。でも、これからは“いつでも必要なもの”ではなくなる。TPOに合わせて使うものになるのかもしれません。TPOというアプリを1個付け足しましょう」というふうに。

価値観ほぐしは、否定ではなく、付け足しである。

この言葉も、ぜひ繰り返し、思い出してください。

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