定年退職後、家庭や地域で孤立しないためにはどうすればいいのか。心理カウンセラーの下園壮太氏は、「そのためのコツは3つある。いずれも50代から始めることが大事だ」という――。

※本稿は、下園壮太『50代から心を整える技術』(朝日新書)の一部を再編集したものです。

ハード思考、うつ病を持っている台所のテーブルに座っている年配の紳士
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“残念なシニア”にならないために

今まで人生の中心は仕事だった。組織の中で人間観を培ってきた。それは、決して無駄なことではありません。発生する問題を解決し、適材適所で人を活用し、期限内にタスクをこなすことで、あなたの価値観は形成されてきました。

一方、定年以降は、あなたが暮らす環境ががらりと変わっていきます。人は1人では生きていけません。家族や地域、趣味のコミュニティでの人間関係をあらためて築くことにもなります。新たな居場所を開拓する際には、初めての人と関わる機会も増え、もっと歳をとると、人に頼らざるを得ない生活がやってきます。

だからこそ、あなたの「価値観2.0」を、これから生み出す必要があるのです。

今、人というものについて等身大で理解する御利益は大きい。“残念なシニア”になり、たえずイライラしていたり、孤立したり、むなしさしか感じない生活は苦しいものです。周囲に呪いや憎しみをまき散らす、『もののけ姫』に出てきたタタリ神のようになりたくない。そのためにも、これまでの経験でカチカチに固まっている価値観を、いったん、ほぐしなおしてみましょう。

価値観の修正は大きな課題です。それを行うにはモチベーションとまだ修正できる余地が必要です。幸運なことに、50代には価値観ほぐしを練習できる場がたくさんあります。