500人強の客室乗務員を管理する「スケジューラー」

「移動しないこと」が世界共通のモラルとなった。新型コロナウイルスの感染を食い止めるためだ。

このため航空会社は減便や運休を強いられている。一時帰休となった社員も多いが、反対にこの状況で猛烈に忙しくなる職種がある。スケジューラーと呼ばれる人たちだ。

スケジューラーは、月単位で客室乗務員の勤務予定を管理し、運休や遅延など日々突発的に起こる運航計画の変更に即して客室乗務員の割り振りを調整する。

石田斎夫(35)は、スカイマークで500人強の客室乗務員を管理するスケジューラーだ。スカイマークは昨年11月に始まったサイパン便(成田―サイパン)以外は全て国内線だったため、新型コロナウイルスの影響で運休や減便が始まったのは3月中旬からだ。

スカイマークの「スケジューラー」の石田斎夫。名刺には「スペシャリスト」と記されている。
撮影=三宅 玲子
スカイマークの「スケジューラー」の石田斎夫。名刺には「スペシャリスト」と記されている。

2015年1月の「経営破綻」に似ている状況だが…

減便が増えるとともに、石田をはじめ10人のスケジューラーの仕事は忙しさを増した。スカイマークの客室乗務員は同じ機体で同じルートを往復しているわけではない。神戸から羽田、羽田から新千歳など、3都市以上を移動しながら数日かけて乗務することもある。

一度ベース地を離陸すると、最長で3泊4日の勤務になる。そのため、1便運休すれば、複雑なパズルのピースを合わせるような調整が始まるのだ。

運休がどれくらい増えるか。いつまでこの状況が続くのか。先行きは見通せない状況にあるが、5年前、2015年1月にスカイマークが経営破綻したときにも石田は同じ部署で多忙を極めた。

だが、今回は思いが違うという。それには、今年元旦の「臨時便」のスケジュールを調整した経験が関わっている。