「ツイッターなんかで、決めていいの?」
「ツイッターなんかで、決めていいの? という反発めいた思いは、正直、ありました」
同様の疑問は、他に何人もの社員からも聞かれた。
「だけど、できません、とは言いたくない。どうせならちゃんとやって恩を返したい、という気持ちが、反発を少し上回っていたんだと思います」
一方、社内の反応に首をかしげた佐山は、その日の夜、ツイッターでアンケートを募った。すると4910人が投票。そのうち90%が「行きたい(乗りたい)」と答えた。結果に意を強くした佐山は、社内調整を行い、12月25日(水)に実施を決めた。
石田の言う「恩返し」は、2015年1月の経営破綻にさかのぼる。
破綻から半年後も「みんなでいい会社にしよう」と訴えていた
そのときも石田はスカイマークのスケジューラーとして勤務していた。1月28日、経営破綻が明らかになると、気が遠くなるほど忙しくなった。運休が決まるたびに、客室乗務員にスケジュールの変更をメールで伝え、宿泊先のホテルやタクシー会社に事情説明と詫びの電話をかける。謝りの言葉を繰り返し、見えない相手に向かって頭を下げた。会社がこの先どうなるのか。給料は支払われるのか。多忙のなかで不安だった。
破綻直後、佐山が率いる投資ファンド・インテグラルがスカイマークの再建に名乗りを上げた。佐山はスカイマークの社員に向けて、「リストラはしない」と明言したが、石田が心から信頼するようになるまでは時間がかかった。
破綻から半年ほどのことだ。佐山は全国の支店を回り、社員から直接質問を受けるミーティングを繰り返していた。そこに石田も参加する機会が巡ってきた。
「時間がたっても、佐山さんが同じ熱量で、みんなでいい会社にしよう、リストラはしない、など、同じ内容のことを訴えているのを見て、この人を信じてみようと思えたんです」