住宅ローン、教育費…「固定費が高い」高収入世帯もアブナイ

その2:住宅ローンや教育費など固定支出の負担が大きい

続いて注意したいのは、住宅ローンや家賃、子どもの塾代や教育費、生命保険料などの「固定支出」の多い世帯である。つまり、低収入層ではなく、比較的高収入を得ている世帯でもお金の使い方次第で家計は厳しくなる可能性がある。

2020年の3月18日~3月19日に調査された「巣ごもり消費に関する調査」(株式会社カンム調べ)によると、休校やリモートワークなどで全体の66%が「生活が変わった」と回答している。

具体的には、消費支出について「増えた」と回答している割合が高いのが、マスクやトイレットペーパー、ティッシュペーパーなど「薬・衛生用品」(全体44%)。そして、デリバリー・テイクアウトなどの「内食・中食」(同28%)だった。「外食」の支出は減っているが、自宅へ持ち帰って食べる食事が増えているのだ。

これら日用品や食費は「変動支出費」に該当する。テレワークなどで自宅に閉じこもる時間が長いと、支出は自然とおさえられるかと思いきや、そうではなかったのだ。

また、一斉休校で休みが長期化した子ども関連の支出も増えている。これも変動支出費だ。同社の調査では、約3割の人が「ゲーム・書籍・コミック」(全体29%)や「動画・音楽の配信サービス」(全体31%)の支出が増えたと答えている。

巣ごもりストレス爆発でネットで服を衝動買いする女性

一方、減った支出(変動支出費)としては、前述した「外食(レストランなど)」(全体36%)、「旅行やイベント(コンサート・観劇・美術館など)」(全体36%)が挙げられる。

興味深いのは、「運動(ジム・プールなど)」は変わらないと回答した人が全体の4割を占めていたこと。さらに、「身だしなみ・美容(化粧品・洋服・ヘアカットなど)」に至っては、変わらないと回答した人が全体の7割以上を占め、特に学生は増えたと回答している人が15%、専業主夫・主婦については、変わらない人が4分の3もいる。

外出自粛で、外に出られなくても、身だしなみにはお金をかけたいのだろうか。いや、そうではない。多くの家計相談を受けていると、外出できない分、特に女性はネットで販売している洋服などの写真を閲覧する時間が急激に増え、巣ごもりのストレスからか衝動買いしてしまうケースが多いのだ。

以上の「変動支出費」の傾向を俯瞰すると、食費(中食・内食)や公共料金(光熱費など)、被服費などが増えた分は、外食費やレジャー費、交際費など減った分で相殺してやりくりすれば、直ちに家計が赤字化するとは限らない。

それに対して、より厳しくチェックしなければならないのが「固定支出費」だ。

住宅ローンや家賃、子どもの塾代や教育費、生命保険料など銀行の口座から引き落とされている「固定支出費」は、毎月一定額が必要となる。一般的に、夫婦と中高生の子ども世帯の場合、毎月の月収に対する占める割合は、住居費25%、教育費12%、保険料8%が、おおむね適正なバランスといわれる。世帯月収が40万円であれば、住居費は10万円以内が理想ということになる。

固定支出費に関して、もともとこの目安を大きく超えた支出をしている高収入世帯の場合、今回のコロナ騒動により、長期間の収入減という事態にまで発展すれば、家計に大きな打撃となるのは必至だ。簡単にコストダウンできない費目ゆえ、返済に困るなど、一気に赤字転落、家計破綻の危機が迫るケースも出てきそうだ。