自分が何者で、何を信じて生きるのか

インスピレーションは、日本語では「思いつき」とか「ひらめき」となりますが、もともとは神の存在や宇宙エネルギーを身近に感じるという意味合いがあり、そういう意味で「霊感」と訳されることがあります。霊感という言葉は、宗教的な精神活動に関連して使われることが多いのですが、私がインスピレーションでなく、霊感という言葉をあえて使うのは、その霊感の源が自分自身の肉体や精神以外に存在しているという意識があるためです。

宗教を信じているか信じていないかにかかわらず、すべての人は霊感を受ける力が備わっていると私は考えます。そして、それは、宇宙の摂理に真理を見いだすように導き、人が創造をし、前進する力として作用します。人は、成長するために生まれ、さまざまな経験をして前進します。試練や苦難に遭って後退することもありますが、霊感で受け止める「促し」は、人がそれらを克服して成長するきっかけに気づかせてくれます。

弱さを持つ自身の枠組みを外し、自分にない強みを持つほかの人や、自分を超えた大きな力から霊感を受けることは、破壊的イノベーションを進めるディスラプターが培うべき重要な資質です。私たちが霊感を研ぎ澄ますには、自分が何者で、何を信じて生きるのかに思いを馳せることが大切です。そうするときに、霊感を通して示唆される「思い」や「ひらめき」は、自分の中で起きる精神活動にとどまらず、人間を前進させる力となります。もっと私たちはそういう力を信頼すべきです。

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