少し硬めのマットレスや敷布団で

このゼロポジションの体勢で、少し硬めのマットレス・敷き布団に寝ましょう。少し硬めがいい理由は、柔らかいマットレスでは、ゼロポジションを取ろうとしても、体が沈み丸まってしまうからです。そのため、正確にはゼロポジションを取れないことになります。

もちろん、寝返りなどで体勢が変わりますが、それはいっこうにかまいません。むしろ寝返りは、全身の関節・筋肉を使うという意味で、すばらしい動作で歓迎すべきものです。仮に、眠っている間に寝返りを打たないとすれば、朝起きたときの腰はガチガチに固まっているでしょう。ご家族など周囲のかたは、「寝相が悪い」などと言わず、温かい目で見守ってあげてください。

高さのある枕はなぜよくないのか

前項でご紹介した「ゼロポジション」のことを講演会などでお話しすると、「枕を使わないで眠れる自信がない」という人がいらっしゃいます。そこで、どのような枕を使っているのかを聞いてみると、かなり高さのある枕を使っているようで驚いたことがありました。

酒井慎太郎『絶対に疲れない体をつくる関節ストレッチ』(KADOKAWA)
酒井慎太郎『絶対に疲れない体をつくる関節ストレッチ』(KADOKAWA)

背の高い枕を使っていると、頸椎は強制的に前方へ押し出され、首や肩の筋肉が緊張し続けるため、想像以上のダメージを受けます。そのため、枕なしで眠ると、首や肩が驚くほど楽になるケースが多いのです。

ただし、何十年間と枕を使っていた人や、ストレートネックになっている人にとっては、いきなり枕なしでは、寝つけないほどの違和感があるかもしれません。

そうした場合は、枕の高さを少しずつ低くしていきましょう。用意するのは、数枚のタオルだけです。それらのタオルを重ねて、現在使っている枕とほぼ同じ高さに調整し、その「タオル枕」でとりあえず、ひと晩眠ります。高さが同じ枕ですから、これならさほど違和感がないはずです。

翌日からは、1日につき1枚ずつのタオルを抜いていき、タオル枕をほんの少しずつ低くしていきます。こうして、最終的にはタオルが1枚もない状態、つまり枕なしで寝られるようにしていくのです。