最後に、東京駅前の有名店「大黒屋」を訪れてみた。

「査定額いっぱいに借りなくても、必要な額だけでいいんですよ」と大黒屋東京駅前店の福田清夫店長は語る。

「土地柄か、金融危機後は特に経営者の方がよく利用されています。質草があればその場で現金が手に入るので、繰り返し利用されるお客様も多いです」

クレジットカードのキャッシングは信用情報機関に履歴が残るから嫌だという人もくるという。質屋は担保の質草そのものに信用力があるから、信用情報を見ないし履歴にも残らない。

不況のせいか目立っているのが、私と同じように、次の給料日まで少しだけ借りたいという「ちょい借り」。なかには「帰りのタクシー代を5000円貸して」とヴィトンの財布からカード類を抜き取り渡す人もいる。

質草としてはやはり高級時計やブランド品が多いと福田さん。

「時計であれば、ロレックスが一番値崩れしにくいですね」。

査定額に影響を与えるのは意外にも為替相場だという。「新品の売値の変動が、中古品の買取査定額にも影響します。預かる場合は3カ月後の相場変動も見越して査定するので買取価格よりは低くなることが多いですね」。では私のフランク・ミュラーはいくらか?  福田さんはチラッと見て「買い取りなら25万円。預かりなら20万円」と他店とほぼ同じであった。