「かかりつけ医」の制度を拡充も感染防止に役立つ
一方、非常時には感染拡大というリスクを伴うことになる。ではどうするか。オンライン診療を含めて「かかりつけ医」の制度を拡充させる。かかりつけ医とは「健康に関することを何でも相談でき、必要な時は専門の医療機関を紹介」(日本医師会)する医師を指す。専門医の診察を受ける前にかかりつけ医が診察するようにする。
患者の症状から軽症であれば、自身で治療を施し、高度な治療が必要と判断すれば、専門の病院を紹介する「ゲートキーパー」の役割を担う。専門医・病院は重度の感染者を含む入院患者の治療に専念できるようにする。また、かかりつけ医を通して軽症患者の容体の経過をモニターする。
新型コロナウイルスの感染の疑いのある、あるいは症状のない個人についてもかかりつけ医がスマホやパソコンなどでもって感染予防に向けた指導をしたり、検温の結果など報告を求めて早期発見に繋げたりすることができる。これまで医療提供体制は患者=病気になった人だけを対象としてきた。医療機関は人々が病気になるのを待って、事後的に治療を施してきたともいえる。これを改めて、診療に加えオンライン等を通じた健康管理もかかりつけ医が担うようにすべきだろう。
わが国では①対面による診療や②医療機関へのフリーアクセスが平時の「常識」とされてきた。しかし、これらは非常時においてパンデミックのリスクを高めかねない。むしろ、オンライン診療の普及とかかりつけ医の活用は平時において患者の利便性を高める一方、非常時には彼等の安全を確保、患者の流れをコントロールすることで医療崩壊を防ぐものとなろう。