新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐにはなにが有効なのか。一橋大学教授で医療経済学が専門の佐藤主光氏は「感染拡大を防ぐにはオンライン診療の促進が有効だ。対面診療の補完という位置付けはもう古い」と指摘する――。
新型コロナウイルスが猛威を振るっている。国内感染者数(クルーズ船の乗客・乗員の感染者を除く)は、3月23日現在で、1000人を超える。検査体制が整っていないことから実際の感染者はさらに多いことが見込まれる。
新型コロナウイルス対策の専門家会議は国内の感染状況について「爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度持ちこたえている」(3月9日)との見解をまとめた。しかし、今後、感染者が医療機関に殺到すれば、わが国の医療体制が機能不全に陥ることが懸念される。医療機関が集団感染(クラスター)となって大流行を引き起こしかねない。こうした医療機関における感染拡大を避ける方策に成り得るのが「オンライン診療」の促進だ。
オンライン診療とは、スマホやパソコンなどの情報通信機器を通して患者の診察を行い、診断結果を伝えたり、薬の処方箋を出したりする診療行為を指す。しかし、医師法第20条によりは「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付してはならない」とされてきた。このため診療は対面(患者に直に会う)でなければいけなかった。