ナイキ厚底シューズの最新テクノロジーを駆使してきた
大迫の「速くなりたい」という気持ちは今回のシューズ選びにも表れている。東京マラソンの男子完走者107人中94人(87.8%)がナイキの厚底シューズを着用していたが、使用モデルについては大きく2つに分かれていた。
前日本記録保持者の設楽悠太(Honda)は現行モデルといえる『ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%」をチョイス。一方、大迫が選んだのは新モデルの『エア ズーム アルファフライ ネクスト%』(以下、アルファフライ)だった。
後者のアルファフライは昨年10月にウィーンで行われた非公認レースでエリウド・キプチョゲ(ケニア)が人類初の2時間切りを果たした際に着用していたシューズの市販モデル。日本では東京マラソンが開催された3月1日に限定先行発売された。
今回、使用モデルが2分されたのは、アルファフライが発売前だったという理由が大きい。ナイキと契約している大迫ですら、同シューズを履いたのはレースの3週間ほど前だったという。
39.5mmの超厚底を履かない選手もいた中、履く決心した理由
アルファフライは靴底の厚さが39.5mmと従来モデルよりも超厚底になっており、前足部にも反発力のあるエアパックが搭載された。そのため、慣れ親しんだモデルを使用した選手も少なくなかったのだ。しかし、大迫に迷いはなかった。
「新しいモデルなので、ナイキの新しい技術が使われている。ナイキを信用して、履いてみようと思いました」
大迫は日本人ではいち早くナイキの厚底シューズを導入。マラソンでは2017年4月のボストンから同シューズを着用してきた。他の日本人選手よりも“厚底使用歴”は長いが、アルファフライを履いたときは違和感があったという。
「足を入れた感じは、薄底から厚底を履いたときにように違ったんです。でも、実際に履き始めたら、慣れるのに時間はかかりませんでしたね。クッション性がすごく上がったと思いますし、エアが入っているので、より反発力もある。これまでのシューズよりもロスが少ないように思います」
ナイキの最新シューズともに結果を残してきた大迫は、日本記録を2度塗り替えた。しかし、大迫はマラソンで「タイム」を意識したことがないという。その真意はどこにあるのだろうか。