日本の未婚化問題には、他の先進国から見るとかなり独特な親子関係のあり方の影響が非常に色濃く投影されているように思います。モンスターペアレントに象徴されるような過干渉な親は、最近よくメディアなどでも話題になる“毒親”とも言えます。
日本の未婚化という現象もこの毒親が加速させている側面があることについては、否めないように思います。“毒親”という言葉は、元々は子どもに対して暴力的・精神的に虐待を加える親のことですが、広義には「子どもをスポイルする親」「自らの価値観で子どもの人生を支配しようとする親」も当てはまると思います。
子どもの成長を阻む“毒親”
暴力的・精神的虐待をする親であれ、意識的/無意識的に自らの人生観どおりに子どもの人生を支配しようとする親であれ、両者に共通するのは、子どもが自分の頭でライフデザインを考え、自分自身の感情や喜びを大切にし、自分で行動を起こし、その責任も自分でとる――子ども自身が挑戦と失敗から自ら学び、さらに成長していくことを阻んでいる、という点です。
“毒親”によって親に与えられた以外の価値観を奪われた、または親以外の他者と融合することが困難になった子どもたちが、パートナーとの交際や結婚の希望を持ちつつも、「子ども部屋」にたたずみ続けている――。毒親問題は、日本の未婚化問題を考察するうえで、看過することのできない大きな問題の一つだと思います。