なぜ結婚しない人が増えているのか。ニッセイ基礎研究所の天野馨南子氏は「2人に1人の親が子どもの結婚に干渉するつもりと回答している。日本の未婚化問題の背景には、他国から見るとかなり独特な親子関係が潜んでいる」という――。
※本稿は、天野馨南子『データで読み解く「生涯独身社会」』(宝島社新書)の一部を再編集したものです。
モンスターペアレントの台頭と未婚化の急増
親の過干渉といえば「モンスターペアレント」という言葉が頭に浮かぶ方も多いかもしれません。確認までに、モンスターペアレントとは、子どもの教育・生育環境に関して、教師や保育者や自治体などに過度のクレームを持ち込んで圧力をかける親のことです。
私はこのモンスターペアレントの台頭と未婚化急増はリンクしている可能性が高い事象同士なのではないかと考えてみました。これをデータとともに見てみることにします。まず、18~34歳の男女の非交際化についてのグラフです【図表1】。
社会学者の指摘などからは、モンスターペアレントの存在が目立ち始めたのは1990年代後半であるといわれています。そして、社会問題化したモンスターペアレントに関する書籍が多数出版されるようになったのが2007年ごろからです。
ある問題が書籍化されるほど注目されるようになるまでには多少の時差がありますので、2007年の少し前にモンスターペアレントの問題が社会で深刻化したと考えられます。
グラフからわかるように、日本で若い未婚者の非交際化が進み始めたのは、2005年ごろからのことです。ちょうどモンスターペアレント問題が深刻化したであろう時期に一致します。