2つの事象の発生推移からは、親の過干渉が深刻化した時期あたりから非交際化が上昇し始めた様子がうかがえます。「わが子可愛さ」のあまり、時に学校や教育委員会にまで怒鳴り込んでいく親たち――。そんなモンスターペアレントが、わが子の交際関係についても「あなたのためなのよ」とばかりに過剰に口出しする姿は、想像に難くありません。

親による過干渉の「長期化」

過干渉な親たちの姿について、もう一つ興味深いデータがあります。彼らが過干渉を行使するのは子どもが学生のうちまでにとどまらない、というデータです。実は社会人の入り口の就職活動でも、親世代による子どもへの干渉が強まりつつある傾向がデータからは示唆されています。

子どもの就職活動に関与した親の割合

【図表2】では、親世代が子世代の就職活動にどれくらい関与したかが示されています。比較対象として、親世代が自ら就職活動をしていた際に、親のそのまた親世代からどれだけ関与されたかについても調査結果が示されています。

親世代が昔、自分たちの親世代から就職について関与された割合は、男女とも3割を切っています。ところが、その親世代が自分たちの子に関与した割合は、10ポイント以上も高い約4割となっています。実に5人に2人の子どもが、就職を決める際に親から干渉を受けているのです。

10ポイントもの差がついた理由として、一つは育った時代背景があると思われます。親世代(2016年に35~59歳)は、1957~1981年生まれになります。親世代の親(祖父母世代)は、まさに第二次世界大戦を挟む混乱期に自らの子ども、すなわち調査対象となた親世代を授かっています(25歳で出産とすると、1932~1956年に出産)。

つまり、子どもに干渉しているどころではなかった世界大戦前後時代に生きていたのが祖父母世代であり、少なからずそのことで、自らの子ども時代に寂しい思いをしてきたであろう世代が親世代なのです。

就活相談でも親同席の三者面談

そのように考えると、「自分が親になったら子どもにきちんと構ってあげて、もっと甘やかしてあげたい。自分は、自らの親にそうしてほしかったから。物にも不自由させたくない」という考えに至ってもおかしくはありません。

裏を返せば、それほど祖父母世代の親世代への関わり方が歴史的に見て異常だった(世界大戦の影響を色濃く受けた時代)のです。そんな、歴史的に見て特異な子ども時代を過ごしたことの反動がデータ上、親世代による子世代への過干渉を生んだ可能性はありうると思います。

仕事上、大学の先生ともお話しする機会も多いのですが、「就職相談で親・子・先生の三者面談をする」という話をよく聞きます。「自分たちが学生だった頃には親が就職相談に関与するということはなかったので、正直戸惑っている」と語る先生も少なくありません。