今われわれができることは、こんな状況でも来てくださる皆さんを全力でおもてなしすること。例えば、正しい知識を観光客の皆さんにお伝えする、そして、困っていることに対してきちんと応えてあげる、中国人が感染を広げるなんて、そんな考えを持って接してたらアカンよ。包容力を持っておもてなしすれば、今の対応が長い目で見たときに都市の評価・信頼につながっていくんですよ。

正しい知識に基づいて冷静に行動すること

今は感染者数や死亡者数、感染ルートや致死率といったことが明確にわからないまま、不安を煽るような情報がSNSで一人歩きしとります。あやふやな情報に惑わされずに、とにかく心がけるべきことは正しい知識に基づいて冷静に行動することなんです。

新型コロナウイルスは、感染防止という観点から、いたずらに不安を感じて中国人を警戒するのも考えものです。彼らも被害者なんですから。

今まで中国の観光客の皆さんから大きな経済効果をもたらしてもらい、日本は東日本大震災のときも中国からたくさん支援してもらったやないですか。日本のほうが感染リスクが低いとのことで、武漢から入国し長期滞在される中国人もいると報道されているけど、そんな中国の方がいたら、一時的にでも安心できる場所を提供したりや。「一緒に頑張ろな」と激励する度量を持ちましょうよ。それがお世話になった中国の皆さんへの恩返しやないか。

そこで大阪では20年1月末から、中国から来た人に対して専用の電話相談窓口を設け、24時間体制で発熱や呼吸器症状がある人に検査のための保健所を紹介しています。大阪には観光で来てる中国人だけじゃなくて、留学や仕事で住んでる人も多いです。その人たちが春節で帰省して、日本に戻ってきて不安を覚えて電話するというパターンが意外と多いですね。

中国とは観光以外にもいろんな産業で密接な関係にあるので、感染拡大防止のために中国を一気に遮断するというのはかなり慎重な判断が必要になります。とはいえ今の状況から考えれば、段階的に遮断をして、少しでも経済的なマイナスを小さくしていく方向に向かってほしいなと思いますね。今後事態が深刻化してきて、経済が世界規模でシュリンクしてきたりとか、東京五輪に影響が出てきたりするようであれば、完全に遮断しなければならなくなるときがくるかもしれませんけれど、バランスが難しいところです。

ただ、今まで観光業を中心に多くの経済効果をもたらしてくれた中国の皆さんに対して手のひら返しをすることなど、おれには絶対にできない。困ったときは助け合いの精神。自分だけがよければいいという発想はアカン! 今はまさに、世界のリーダーである大阪の包容力を見せるべきときだと思う。

(構成=万亀すぱえ 撮影=加藤 慶)
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