「本業」が頭打ちの企業が、不動産事業を本格化させている。不動産コンサルタントの長谷川高氏は「人口減で運賃収入が頭打ちになっている電鉄会社はその代表格だ。地盤とする地域を越えて展開する例が増えている」という――。

※本稿は、長谷川高『不動産2.0』(イースト・プレス)の一部を再編集したものです。

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「運賃収入は頭打ち」電鉄会社が着々と仕掛けていること

大手電鉄会社の昨今の動向を見ると厳しい現実が浮かび上がってきます。

関東の私鉄といえば、東急、京王、小田急、京急、京成、西武、東武など。関西では、阪急阪神、京阪、南海、近鉄などが挙げられるでしょう。

ここに挙げた電鉄各社は、すべて上場企業です。当然、株主に対して企業価値の向上といった責務があります。ところが、電鉄会社の本業である運輸業における運賃収入は、どの会社も頭打ちの状態が続いています。

そこには、企業の一存で運賃を値上げすることはできない、という硬直性の問題がありますが、沿線人口の頭打ちによって乗降客数の増加が見込めなくなっている、もしくは減少しているという根本的な問題も抱えています。

高度経済成長の時代は、どの電鉄会社も宅地開発をしたり、遊園地などの施設をつくることにより、沿線に人を呼び込んでいました。全体の人口が右肩上がりに増えていたこともあって、実際に沿線住民の人口は増えていきました。

しかし、そんな時代はもう終わりを迎えました。これから10年、20年後を考えた場合、乗降客数が増えるという想定は、非現実的と言えるでしょう。では今後、どのように売上を確保していけばよいのでしょうか?