全日本選手権では19年7連覇を成し遂げましたが、優勝しよう、勝とうという思いよりも、自分が「こういうことをしたい」という目標や課題を課して試合に臨んでいました。

目標を持つことはとても大切です。最終的な目標を持ちながらも、今目の前にあることに、どれだけ全力を出せるか。これが一番大事なことです。

私の場合、結果として、何年かたって振り返ると連覇していた、気づいたら連覇、という感じですね。

試合中に停電でも動じず続行

試合前の習慣についてですが、私の場合は、これといった習慣は存在しません。型にハメてばかりだと、何か起きたときにテンパってしまい、対応できなくなります。

キュートな素顔から一変し、試合中は気迫あふれる表情。2020年東京オリンピックでは金メダルの最有力候補だ。
キュートな素顔から一変し、試合中は気迫あふれる表情。2020年東京オリンピックでは金メダルの最有力候補だ。(時事通信フォト=写真)

試合中は何が起きるかわかりません。試合の状況や、万が一トラブルが発生したときなど、臨機応変に対応する必要があるからです。

特に、海外の大会だとハプニングは当たり前です。試合中に電気が落ちることもありました。それも自分の演武中にです。でも、テンパったらダメ。何事もなかったかのように演武を続けました。

適応能力がないと試合はうまく運べません。予期せぬことが起きても、しっかり向き合っていきます。

メンタルを鍛えるには、「その環境を受け入れること」が大切です。周りの状況がこうなって困っているから、どうにかしてほしい、と他力本願になるのではなく、困った状況になっても、ある程度自分から溶け込んでいくこと。

そのとき、自分の主軸は絶対変えません。自分を打ち消して環境に溶け込むのではなく、環境と打ち解けながらも自分の軸はしっかり守るようにしています。

状況に合わせなければいけないので、しっかり自分と向き合うこと。イメージトレーニングも絶対に欠かせません。大会によって、足場が全然違います。滑るときもあれば、沈むときもある。会場の下見など、準備をしっかりして、現場でどう適応するのかが大事なのです。

絶対に聞く曲はファンモン「あとひとつ」

試合前日の過ごし方ですが、午前中に練習(最終調整)をして、お昼から試合会場へ出向きます。雰囲気を見たり、マットの感じなど、どんな感じかチェックします。

そういった下準備は必ずします。環境をしっかり受け入れる準備をする感じですね。

夕食は必ずカレーを食べます。試合の当日は、しっかりした量は食べられないので、前日に炭水化物をしっかり食べて、エネルギーを補給します。ちなみにお酒は普段から全く飲みません。