米国は新しい医薬品が最も早く使用される国ですから、当社のようなR&D(研究開発)主導の会社にとっては、この地で強いプレゼンスを持つことが非常に重要です。
ニューヨークでの上場に関して言うと、世界を代表する製薬会社は大抵米国に上場していますから、それらの世界企業と同じレベルでタケダを認識してもらえることは競争力を高めるうえで重要です。その意味で米国での上場は我々の戦略上、必須でした。また日本で株式を購入できない人に代替案を提示することも、シャイアー買収における重要な要素でした。とはいえ時価総額の過半数は東京にありますから、我々にとって1番は東京市場であり、米国は2番という位置づけです。
タケダの創業精神は海外でも通用する
――買収を決定した当初から、統合作業は1年以内に終えると公言していました。現在の進捗状況はいかがでしょうか。
人の配置に関しては、現在(19年12月中旬)までに95%を終えています。ただ各国での法人統合については、細かい手続きが必要でもう少し時間がかかります。
――これほど大規模な組織と人の統合作業を1年足らずのスピードでやり遂げられた要因とは何でしょうか。
当初から極力、早く2社を組み合わせることを目指していました。そのために1年前から新しい組織デザインの検討を始めていたのです。ですから統合にあたっては準備していたデザインに基づいて進めていけばよかったわけです。
我々が最も重視したのは、単に違う組織を加えるのではなく、新しく1つのチームをつくること、ワン・タケダをつくることでした。先ほど95%が終わったと申し上げましたが、それは、「新しいタケダ」のチームがほぼできあがったという意味です。世界中のシャイアーのロゴマークはタケダのものに変わりました。日本企業がM&Aをする場合、こういうやり方はあまりないと思います。