表情やしぐさから無言のメッセージを推察

しかも、これからのAI(人工知能)時代には、①クリエイティビティ、②ホスピタリティ、③マネジメントという能力のいずれかがない人材は淘汰されていくという。

「3つに共通するのは、コミュニケーションの8割を占めるとされるノンバーバル(非言語)コミュニケーションの力です。相手の眼差しや表情、声の余韻やしぐさなどから、無言のメッセージを感じ取る力は、AIでは真似できないからです。そのうえで、①はチームを組んでメンバーの智恵を集め、新たなアイデアを創出する力のことです。②は当然、ノンバーバルコミュニケーションの力が不可欠になります。そして③は『心のマネジメント』のことです。部下の悩みを聞き、励まし、仕事に働き甲斐を感じられるようにする力。また、互いに協調、協力し合って成果を上げられるようにする力です」

しかし、この人間関係力や人間力は一朝一夕には身につかない。そこで、田坂さんは「反省日記」を勧める。

「毎晩10分程度、その日の商談や会合を振り返り、相手の発した言葉だけでなく、その表情やしぐさから無言のメッセージを推察する。自分の発言に対する相手の反応を思い出し、心の内を想像する。その習慣が人間関係力を大きく高めてくれます。人生100年時代のいま、定年後の再就職やNPO活動などにも生きてきます」

資料注:2018年3月~2019年7月にOpenWorkへ登録のあった年収および出身大学データのうち、50件以上データのあった大学100校、1万8651人が対象。大学院は除外し、各大学の年収と年齢の分布から30歳時想定年収を算出

田坂広志
多摩大学大学院名誉教授
田坂塾塾長。1951年生まれ。74年東京大学卒業。81年同大学院修了。工学博士(原子力工学)。90年日本総合研究所の設立に参画。2000年多摩大学大学院教授に就任。08年ダボス会議のGACメンバーに就任。13年全国5400名を超える経営者やリーダーが集う田坂塾を開塾。著書は90冊余。
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