>>内藤さんからのアドバイス
付き合う人は単純に「楽しいから付き合う、楽しくなければ付き合わない」という基準で決めています。楽しいというのは一つの価値なので大切にしたいと思いますし、たとえ役に立つ話を教えてくれても、一緒にいるのが苦痛であればその関係は続かないでしょう。
金融業界でも会社をクビになった途端、その人の周囲がサーッと引いていくことがありますが、やはり寂しい話です。お互いそのような思いをしないためにも、利害関係ではなく、好きかどうかという素直な基準で付き合い方を考えればいい。
仕事でも楽しく仕事ができる人とチームを組んだほうが、アウトプットも出しやすいものです。「なんだかイヤだな」と思っていると士気も下がっていくと思いますし、人間の能力は不変ではないので、状況や付き合っている人に左右される部分も大きいのではないでしょうか。
また、私は不特定多数の人が集まる異業種交流会などにはほとんど参加しません。仕事で必要な人脈や情報が得られることを期待して出かけていく人も多いのかもしれませんが、さして興味が湧かない場所に行き、漫然と名刺交換をしても、仕事で生かせる人脈をつくるのは難しい。情報はランダムに集めたところで何かの形になるわけではないからです。情報収集そのものは重要ですが、仕事の中でアウトプットを意識しながら集めていくほうが、はるかに効率がいい。
人付き合いについても同様で、大切なのは数ではなく質といえます。「人付き合いがいい」というのは褒め言葉かもしれませんが、そのためにムリをする必要はない。それに大勢の人と付き合うことは、リスクを増やすことにもつながります。自分なりの付き合いの基準をもって、ときには「人間関係の損切り」を行ってもよいのではないでしょうか。
1960年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。深い呼吸の力により集中力を取り戻すための方法を説く『呼吸入門』など著書多数。近著は『坐る力』『新訳 学問のすすめ』など。
1964年生まれ。東京大学卒業後、住友信託銀行入行。米国MITでMBA取得。シュローダー投信投資顧問を経て、99年マネックス証券入社。2004年マネックス・オルタナティブ・インベストメンツを設立し、05年11月より現職。資産運用に関する著書多数。