開頭術と血管内治療双方を手がけ、患者に応じて使い分ける施設もあるが、多くは、得意の施術方法をもつ。治療法のみならず、治療をすべきかどうかで迷ったときは、セカンドオピニオンを受けるか、「先生が私の立場ならどうしますか」という質問を主治医に投げかけてみると、心を決める答えが聞けるかもしれない。

ミリ単位の頭蓋内の血管を扱う非常に難度が高い治療だけに、100%の成功率を期待すべくもなく、手術の技量が施設や医師で大きく差があるのも事実だ。旭川赤十字病院脳神経外科の上山博康部長は、「手術が必要であるとしながらも『手術が難しいので、様子を見ましょう』という結論になったら、『できそうな病院をご紹介いただけませんか』と主治医に丁寧にお願いするなり、自分で探す必要がある」という。上山部長のもとには、25ミリを超える巨大動脈瘤治療や、瘤の近くに重要な神経や血管があり、クリップがかけられず、トラッピング法での施術を求める患者が集まる。

また、動脈瘤が見つかり不安がる患者に、大きさに関係なく手術を勧める施設もある。「ガイドラインで推奨されている大きさは、5~7ミリ。主治医に納得できなければ、無用な手術を避けるためにも、別の医師の意見を聞くべきかもしれない」と名古屋大学医学部附属病院脳神経外科の宮地茂准教授は語る。

両医師は「脳ドックで動脈瘤が見つかってしまった」といって、訪れる患者を気にかけている。未破裂脳動脈瘤の手術は、現在不都合がないのに、将来起こるかもしれないくも膜下出血を回避するための予防的治療だ。

「検査結果を知ってから、手術のリスクに気づき、治療が怖くなる人がいる。脳ドックを受けるなら、『万が一、発見されたときは、信頼する医師を見つけて、動脈瘤と向き合う』という覚悟が必要」とともに安易な脳ドック受診を戒める。

くも膜下出血は、高血圧、糖尿病、喫煙、くも膜下出血に罹患した親類がいる人、頭痛持ちなどに多い。該当するなら、結果を冷静に受け止める、と心に決め脳ドックを受けたい。

※すべて雑誌掲載当時
※ランキングは1607病院のDPCデータを使用。2009年7~12月の6カ月間の退院患者についての治療実績。「―」は10例未満、または分析対象外とされたもの。

(Getty Images=写真 ライヴ・アート=図版作成)