治療実績は病院の実力を知る一つの指標。納得の治療を受けるには、病院と「治療法」選びが重要。手術数から実力病院を検証する。
突然死の原因の7割は心筋梗塞
突然、胸をわしづかみされたような激しい痛み、胸のあたりが息苦しい――。
心臓病は、がんに次いで二番目に死亡者の多い病気である。心臓病は、大きく、狭心症・心筋梗塞といった虚血性心疾患、不整脈、弁膜症、心筋症、先天性心疾患などに分けられる。
なかでも、健康だった人が突然死する要因の7割を占めるのが心筋梗塞だ。心筋梗塞は、心臓に酸素を送る冠動脈が詰まり、心筋の一部が壊死してしまう病気。その前段階が狭心症で、冠動脈の一部が狭くなって、一時的に息苦しい、胸が締め付けられるといった症状が出る。
狭心症・心筋梗塞の治療には、内科的な治療の「薬物治療」「心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術、PCI)」、そして「冠動脈バイパス手術」がある。心臓カテーテル治療は、手首や足のつけ根の動脈からカテーテルと呼ばれる細い管を入れ、バルーン(風船)やステント(筒形で網状の金属)を使って、狭くなったり詰まったりしている冠動脈を広げる治療法だ。胸にメスを入れることなく血管の中から行える内科的治療であるため、手術に比べて患者の負担が少ない。
それでも、細いカテーテルを血管の中に挿入して行う治療であるだけに、動脈を傷つけずに病変へ到達して治療を行うテクニックが必要だ。頻度は低いものの、動脈を傷つける合併症や血管が裂けて患者が死亡するケースも報告されている。
DPC参加病院と準備病院の合計1607病院の中で、2009年7月から12月までの半年間の心臓カテーテル治療件数が多かったのは表の50病院。カテーテル治療の症例数は、急性と慢性のステント留置術(バルーンのみの治療なども含む)の合計数とした。急性ステント留置術は、急性心筋梗塞に対するカテーテル治療。慢性ステント留置術は、狭心症・心筋梗塞の患者に対して、予定を立てて行った待機的治療の症例数を表す。ここにリストアップされたのは、各地域で、心臓病治療に力を入れる病院ばかりだ。