ピークを過ぎて落ち目の50代男性、子育て完遂の女性は働く気満々

3:子育て後はさらに仕事にエネルギーを投下

同調査では、「これまで子育てをしていたものの、今は、(子どもも成長して)ほとんど手がかからない」という男女を対象に調査を行っています。

「子育てが仕事の制約だと感じることがあったか」を尋ねたところ、「制約と感じることがあった」と回答した人は、女性総合職では73.1%でしたが、男性総合職はわずか19.6%でした。

また、「子育ての負担が減った現在、思う存分仕事をしている」と回答した女性総合職は63.1%に上る一方で、男性総合職は42.1%にとどまっています。

多くの女性総合職が、過去には子育てと仕事の両立でたいへん苦労したものの、子育ての負担から解放されたことで仕事に対するモチベーションが上がったことがわかります。

写真=iStock.com/gruizza

インタビュー調査で50代女性総合職は次のようなコメントをしました。

「50代の女性は子育ても終わっている。今、私もそうですけれども子どもが高校生、大学生になり子育てはほぼ終わり。60になれば(親の)介護になるかもしれないので、50代は一番時間があると思うのです。一番仕事ができる。経験も20年ぐらい積んでいて、それで自分の時間が使えるとなってきているので、本当はもっと活躍していいのではないかと思っています」
「私は、子どもが小さい時にはもう5時で帰ります、帰らせてくださいという生活を続けました。今はもう子どもに手がかからなくなってしまったので、大丈夫、仕事をするよ、引き受ける、できなかったら私がやるよとか」

前出・山谷氏は、この調査結果やコメントを踏まえ、こう話します。

「これまでの単線的なキャリアをとる男性において50代は、働き盛りのピークを過ぎた年代と考えられ、役職定年を設けている企業も多い。その一方、50代の女性たちは、これから思い切り働けるぞという年代なのです。そのため、50代になっても、昇進・昇格の機会や新たな活躍の場を設けるといった取り組みを企業でぜひ実施していただきたいと思います」

女性にとって、仕事と子育てを両立させながら働くことは、一時的にキャリアの中断や遅れを生じることも多かったはずです。しかし、子育て後に、仕事への意欲が上がる状況を踏まえれば、何歳になっても能力や意欲の高い人が活躍できる環境づくりが重要になってくるのではないでしょうか。