女性総合職のほうが男性総合職よりも「核となるスキル」がある

2:50代男性総合職と女性総合職の満足度の差異

同調査では、「仕事の質・職務内容」「教育訓練の機会」「給与額」「上司から受ける援助や指示」「同僚や部下とのコミュニケーション」「仕事も含めた生活全般」の6つの項目についての満足度を調査しています。

その結果、男性総合職に比べて女性総合職のほう満足度が高かったのは、

「仕事の質・職務内容(男性52.2%、女性67.6%)」
「仕事も含めた生活全般(男性49.6%、女性62.2%)」

でした。

逆に、男性が女性より満足度がたかかったのは

「上司から受ける援助や指示(男性42.8%、女性25.5%)」

などであることが明らかになりました。

インタビュー調査では、50代女性総合職は下記のようなコメントを残しています。

「私より上の代がどんどんやめていったのは、そういう時代だったということもあり、ちょうどその狭間で、ギリギリ大丈夫な残ってもいい時代に入っていたからで、(自分が)何が突出してできたからとか、絶対にやめないでやると思っていて残ったわけではないので、本当に人を含めた環境とか、時代とか、会社の制度とか、いろんなものに恵まれていたのだと思いますね、私は」
「本当にフェイス・トゥ・フェイスでありがとうと言われることが多かったので。今は本当に橋渡しで、直接、ありがとう(と言う機会)はちょっと減ったので、ちょっとその点はちょっと寂しいかなというのはあります」
「会社に来るのが楽しかったです。仲間が、一緒に仕事をしていて、仕事も楽しかったので、逆に言うと、仕事が趣味ではないですけれども、どこか優しさがある方がまわりにすごく多くて、一緒に頑張ろうねと言う形でやってこられたのはすごく楽しかったので、なんかいつの間にか来られてしまいました」

21世紀職業財団の上席主任・主任研究員である山谷真名氏は次のように解説します。

「同じ総合職でも女性のほうが処遇も悪く、仕事経験による育成や研修など企業からの支援を受けてきていません。しかし、今回の調査結果からは、女性総合職のほうが男性総合職よりも『核となるスキル』があり、そのスキルを現在の仕事で活かせていると認識している人が多いことも明らかになりました(*)。総合職の女性たちは、困難な職場環境だからこそ、仕事に活かせるスキルを身につけ、それによって満足度を高めているのではないかと思います」

*「ある」+「どちらかといえばある」男64.9%、女73.4%

女性の仕事内容に対する満足のなかには、出世・昇進ではなく、「仕事をさせてもらうことに対する感謝の気持ち」や、「周囲と一緒に協力をして仕事を行うことへの喜び」などから生まれくるものも多く、そうしたポジティブな気持ちが、仕事に活かせるスキルの習得につながったのかもしれません。